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高尿酸血症

高尿酸血症について

高尿酸血症は、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を指します。尿酸は、食べ物に含まれるプリン体や体内で作られるプリン体が分解される時にできる老廃物で、通常は腎臓から尿として排出されます。この尿酸の産生が多すぎたり、排出が少なすぎたりすると、血液中に尿酸がたまってしまいます。

尿酸値が高い状態が続くと、関節や腎臓、血管などに尿酸の結晶がたまり、様々な問題を引き起こします。最もよく知られているのが痛風発作ですが、それ以外にも腎臓の機能低下や心血管疾患のリスク増加など、体全体への影響があることが分かってきています。

高尿酸血症は男性に圧倒的に多く、女性の約10倍の頻度で見られます。これは女性ホルモンに尿酸の排出を促す働きがあるためで、閉経後の女性では尿酸値が上がりやすくなります。年齢的には30~50代の働き盛りの男性に最も多く見られます。

高尿酸血症の原因は様々です。遺伝的な要因もありますが、多くの場合は生活習慣が関係しています。食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、ストレス、肥満などが尿酸値上昇の要因となります。また、腎臓の病気や血液の病気、利尿薬などの薬の副作用で起こることもあります。

高尿酸血症の症状

高尿酸血症の厄介なところは、多くの場合で自覚症状がないことです。健康診断で初めて尿酸値の高さを指摘され、驚く方も少なくありません。しかし症状がないからといって放置していると、様々な合併症を引き起こすリスがあります。

無症状期

尿酸値は高いものの、まだ症状が現れていない時期です。この段階では日常生活に支障はありませんが、体の中では徐々に尿酸の結晶が蓄積されています。多くの方がこの段階で治療を怠りがちですが、実は予防対策を始める最も大切な時期でもあります。

定期的な健康診断で尿酸値をチェックし、生活習慣を見直すことで、将来の合併症を予防することができます。この時期に適切な対策を取ることが、長期的な健康維持につながります。

痛風発作

高尿酸血症で最も有名な症状が痛風発作です。突然、足の親指の付け根などの関節に激しい痛みが起こります。「風が吹いても痛い」と表現されるほどの激痛で、歩くことも困難になります。

痛風発作は通常、夜中から明け方にかけて始まることが多く、患者さんは激痛で目を覚まします。関節は赤く腫れ上がり、熱を持ちます。発作は1~2週間で自然に治まりますが、治療をしないと繰り返し起こるようになります。

慢性の症状

高尿酸血症が長期間続くと、関節以外にも様々な部位に影響が現れます。耳の軟骨や肘、膝などに痛風結節という硬いこぶができることがあります。これらは通常痛みはありませんが、大きくなると関節の動きが悪くなったり、見た目の問題になったりします。

腎臓への影響も重要で、尿酸の結石ができたり、腎臓の働きが徐々に悪くなったりすることがあります。また、高血圧や動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まることが分かっています。

高尿酸血症の診断

高尿酸血症の診断は、血液検査による血清尿酸値の測定が基本になります。

血清尿酸値が7.0mg/dL以上であれば高尿酸血症と診断されます。ただし、1回の検査だけでなく、複数回測定して確認することが大切です。また、痛風発作中は尿酸値が一時的に下がることがあるため、発作が治まってから再検査することもあります。

尿検査では、尿酸の排出量を調べることで、尿酸値が高い原因が産生過多なのか排泄低下なのかを判断します。これにより、最適な治療方法を選択することができます。

その他の検査として、腎機能検査、肝機能検査、血糖値、コレステロール値なども調べます。高尿酸血症は他の生活習慣病と合併することが多いため、総合的な評価が重要です。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療は、生活習慣の改善と薬物治療を組み合わせて行います。痛風発作を起こした方は、発作が落ち着いてから内服治療を開始し、血清尿酸値を6.0mg/dL未満を目指します。痛風結節がある場合は、より厳格に5.0mg/dL未満を目指します。症状のない方では、血性尿酸値9mg/dL以上、合併症を有する方では8mg/dL以上が治療開始の目安です。

生活習慣の改善

治療の基本は生活習慣の改善です。食事療法では、プリン体を多く含む食品の摂取を控えます。特に内臓類(レバー、腎臓など)、魚介類の干物、一部の魚類(イワシ、カツオなど)は高プリン体食品として知られています。

アルコール、特にビールは尿酸値を上げる大きな要因です。ビールにはプリン体が多く含まれるだけでなく、アルコール自体が尿酸の産生を増やし、排出を妨げます。適量を心がけるか、可能であれば禁酒することをお勧めします。

十分な水分摂取も大切で、1日2リットル以上を目標にします。水分を多く取ることで尿量が増え、尿酸の排出が促進されます。適度な運動も効果的ですが、激しい運動は一時的に尿酸値を上げることがあります。

また、ウォーキングや水泳などの有酸素運動を、無理のない範囲で継続することが大切です。

薬物治療

生活習慣の改善だけで尿酸値が下がらない場合や、すでに痛風発作を起こしたことがある場合は、薬による治療を行います。尿酸を下げる薬には、尿酸の産生を抑える薬と尿酸の排出を促す薬があります。

尿酸産生抑制薬には、アロプリノールやフェブキソスタットなどがあります。これらの薬は尿酸が作られる過程を阻害することで、血中の尿酸値を下げます。腎機能が悪い方や尿酸の産生が多い方に適しています。

尿酸排泄促進薬には、ベンズブロマロン、ドチヌラドなどがあります。腎臓からの尿酸の排出を促進することで、血中の尿酸値を下げます。腎機能が正常な方で、尿酸の排出が少ない方に適しています。

薬物治療を始める際は、急激な尿酸値の変化により痛風発作が誘発されることがあります。そのため、治療開始時にはしばらくの間、コルヒチンなどの発作予防薬を併用することが多くなります。

合併症と長期管理

高尿酸血症は単独でも問題ですが、他の生活習慣病と合併することで、より深刻な健康問題を引き起こします。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などと密接な関係があり、これらが重なることで動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。

腎臓への影響も重要で、高尿酸血症は慢性腎臓病の進行要因の一つとされています。また、尿酸結石ができやすくなり、激しい痛みや腎機能の低下を引き起こすことがあります。

長期管理では、定期的な血液検査により尿酸値をモニタリングし、必要に応じて治療を調整します。目標値に達したからといって治療を中止すると、再び尿酸値が上がってしまうため、継続的な管理が必要です。

また、他の生活習慣病の管理も同時に行い、総合的な健康管理を心がけることが大切です。定期的な健康診断を受け、血圧、血糖値、コレステロール値などもしっかりチェックしましょう。

当クリニックでの高尿酸血症の診療

当クリニックでは、高尿酸血症の診断から治療、長期管理まで、包括的な医療サービスを提供しています。健康診断で尿酸値の異常を指摘された方から、すでに痛風発作を経験された方まで、患者さんの状況に応じた適切な治療を行います。

初診時には、詳しい問診と身体診察、必要な検査を行い、患者さんの尿酸値上昇の原因を特定します。その上で、個々の患者さんに最適な治療方針を提案いたします。生活習慣の改善だけで管理できる方もいれば、薬物治療が必要な方もいらっしゃいます。

生活指導では、食事内容の見直し、運動習慣の確立、体重管理、ストレス対策など、具体的で実行可能なアドバイスを提供します。患者さんのライフスタイルに合わせた無理のない改善方法を一緒に考えていきます。

薬物治療が必要な場合は、患者さんの腎機能や他の病気の有無を考慮して、最適な薬剤を選択します。定期的な検査により治療効果を確認し、副作用のチェックも欠かしません。

また、高尿酸血症と関連の深い他の生活習慣病の管理も同時に行い、患者さんの総合的な健康維持をサポートいたします。

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