人間ドックは、病気の予防と早期発見を目的とした総合的な健康診断です。通常の健康診断よりも検査項目が多く、より詳細な検査を行うことで、さまざまな疾患のリスクや初期症状を発見できます。
当クリニックでは、最新の医療機器と専門医によるきめ細かな検査・診断で、受診者の皆様の健康維持をサポートしています。
人間ドックと一般健康診断の違い
人間ドックと一般的な健康診断はどのように異なるのでしょうか。主な違いは以下です。
検査項目の違い
- 人間ドック:一般健診の項目に加え、がん検診や脳・心臓などの精密検査を含む多数の検査を実施
- 一般健康診断:法令で定められた基本的な検査項目が中心
検査の詳細さ
- 人間ドック:各検査がより詳細で精密(例:胃カメラやCT検査など画像診断を活用)
- 一般健康診断:スクリーニング検査が中心(異常があれば再検査や精密検査を勧められる)
時間と費用
- 人間ドック:半日〜1日かけて実施することが多く、費用も高め(3〜10万円程度)
- 一般健康診断:1〜2時間程度で終了し、費用も比較的安価(会社の健保や自治体検診ではほぼ無料〜数千円)
目的の違い
- 人間ドック:特定の疾患のスクリーニング、早期発見・予防
- 一般健康診断:総合的な健康状態の把握
人間ドックで行われる主な検査項目

人間ドックにはさまざまなコースがありますが、標準的な人間ドックに含まれる主な検査項目をご紹介します。
基本検査
- 問診・診察:現在の健康状態や既往歴、生活習慣についての聞き取りと診察
- 身体測定:身長、体重、BMI、体脂肪率、腹囲測定
- 血圧測定:安静時の血圧を測定
- 視力・聴力検査:視力と聴力の測定
- 心電図検査:心臓の電気的活動を記録し、不整脈や虚血性心疾患などを調べる
- 眼底検査:眼の奥にある網膜や血管の状態を観察
- 眼圧検査:緑内障のスクリーニング
血液検査
- 血液一般:赤血球数、ヘモグロビン量、白血球数、血小板数など
- 肝機能:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ALP、総ビリルビンなど
- 腎機能:クレアチニン、尿素窒素、eGFRなど
- 脂質代謝:総コレステロール、HDL・LDLコレステロール、中性脂肪
- 血糖代謝:空腹時血糖、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、インスリンなど
- 尿酸:高尿酸血症・痛風のリスク評価
- 甲状腺機能:TSH、FT3、FT4など
- 腫瘍マーカー:CEA、CA19-9、PSA(男性)、CA125(女性)など
尿検査
- 尿一般:尿蛋白、尿糖、尿潜血、尿ウロビリノーゲンなど
- 尿沈渣:尿中の細胞成分の顕微鏡検査
便検査
- 便潜血検査:大腸がんのスクリーニング
- 便培養検査(オプション):腸内細菌叢の検査
画像診断
- 胸部X線検査:肺や心臓の状態確認
- 腹部超音波検査:肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓などの状態確認
- 上部消化管検査:胃部X線検査(バリウム検査)または胃カメラ検査
- 頸動脈超音波検査:動脈硬化の評価
呼吸機能検査
- 肺活量測定:肺の換気機能を評価
女性向け検査
- 乳がん検診:視触診、マンモグラフィ検査、乳房超音波検査など
- 子宮頸がん検診:子宮頸部細胞診
男性向け検査
- 前立腺検査:PSA(前立腺特異抗原)検査
人間ドックのオプション検査
基本コースに加えて希望や年齢、性別、家族歴などに応じて追加できる主なオプション検査を受けられます。詳しくは、以下です。
循環器系オプション
- 心臓超音波検査:心臓の形態や機能を評価
- 運動負荷心電図:運動時の心臓の反応を調べる
- ホルター心電図:24時間の心電図を記録
- 冠動脈CT検査:心臓の冠動脈の状態を詳細に検査
消化器系オプション
- 大腸内視鏡検査:大腸の粘膜を直接観察
- 腹部CT検査:腹部臓器を断層的に詳細に観察
- 胆道系検査:MRCPなどによる胆道系の精密検査
- ヘリコバクター・ピロリ菌検査:胃がんリスク評価
脳・神経系オプション
- 脳MRI・MRA検査:脳の状態や血管の異常を詳細に調べる
- 頚動脈超音波検査:頚部の動脈硬化を評価
- 認知機能検査:認知症のスクリーニング
呼吸器系オプション
- 肺CT検査:肺の詳細な画像診断
- 喀痰細胞診:肺がんのスクリーニング
骨・関節系オプション
- 骨密度検査:骨粗しょう症のリスク評価
- 関節X線検査:関節の状態を確認
生活習慣病関連オプション
- 糖負荷試験:糖尿病の精密検査
- 睡眠時無呼吸症候群検査:睡眠の質と呼吸状態を評価
- 体組成分析:筋肉量や体脂肪の詳細な分析
人間ドックでわかる主な病気や健康リスク

人間ドックの各検査項目から、以下のような疾患や健康リスクを発見できます。
生活習慣病
- 高血圧:血圧測定、眼底検査で評価
- 脂質異常症:血液中の脂質検査で評価
- 糖尿病:血糖値、HbA1cなどで評価
- 肥満:BMI、体脂肪率、腹囲測定で評価
- メタボリックシンドローム:腹囲と各種検査値の組み合わせで評価
がん
- 肺がん:胸部X線検査、胸部CT検査で発見
- 胃がん:胃部X線検査、胃カメラ検査で発見
- 大腸がん:便潜血検査、大腸内視鏡検査で発見
- 肝臓がん:腹部超音波検査、腹部CT検査、腫瘍マーカーで発見
- 膵臓がん:腹部超音波検査、腹部CT検査、腫瘍マーカーで発見
- 乳がん:マンモグラフィ、乳房超音波検査で発見(女性)
- 子宮頸がん:子宮頸部細胞診で発見(女性)
- 前立腺がん:PSA検査で発見(男性)
心血管疾患
- 心疾患:心電図、心臓超音波検査で評価
- 脳血管障害:頸動脈超音波検査、脳MRI・MRA検査で評価
- 動脈硬化:頸動脈超音波検査、ABI検査で評価
消化器疾患
- 脂肪肝:腹部超音波検査、肝機能検査で発見
- 胆石症:腹部超音波検査で発見
- 膵炎:腹部超音波検査、膵酵素検査で発見
- 逆流性食道炎:胃カメラ検査で発見
- 胃・十二指腸潰瘍:胃カメラ検査で発見
呼吸器疾患
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD):呼吸機能検査で評価
- 肺炎・肺結核:胸部X線検査で発見
- 間質性肺炎:胸部CT検査で発見
その他
- 貧血:血液一般検査で発見
- 甲状腺機能障害:甲状腺ホルモン検査で発見
- 骨粗しょう症:骨密度検査で評価
- 腎機能障害:腎機能検査、尿検査で評価
人間ドックを受けるメリット
1. 総合的な健康状態の把握
複数の検査を一度に受けることで、全身の健康状態を総合的に把握できます。一般的な健康診断では見つけにくい異常も発見できる可能性が高まるのです。
2. 早期発見・早期治療による予後の改善
多くの疾患は早期に発見することで治療の選択肢が広がり、治療効果も高くなります。
3. 無症状期での疾患発見
生活習慣病やがんなどは初期段階では自覚症状がないことが多いため、定期的な検査で発見することが重要です。
4. 経年変化の観察
定期的に受診することで、検査結果の経年変化を観察できます。数値の変化が基準値内であっても、急激な変化があれば注意が必要です。
5. 生活習慣改善の動機付け
検査結果を知ることで、生活習慣の改善への意識が高まるでしょう。軽度の異常があれば、生活習慣の改善で改善できる場合も多くあります。
6. 医療費の削減
重症化してからの治療は高額になりがちです。早期発見・早期治療によって、将来的な医療費負担を軽減できる可能性があります。
人間ドックを受ける際の注意点
検査前の注意
- 食事制限:多くの検査では前日夜から絶食が必要です
- 服薬:持病がある場合は、薬の服用について事前に相談しましょう
- 生活習慣:検査前日は激しい運動や飲酒を控えるのが望ましいです
- 女性の場合:月経中は一部の検査が受けられない場合があります
当日の持ち物
- 健康保険証
- 予約票や案内状
- 問診票(事前に記入できる場合)
- 過去の検査結果(比較のため)
- お薬手帳(服薬中の方)
- 眼鏡やコンタクトレンズ(使用している方)
- 着替えや身の回りの必需品(1日コースの場合)
検査結果の確認と活用
- 結果が届いたら必ず内容を確認し、理解できない点は医師に質問しましょう
- 要精密検査の指摘があった場合は、速やかに受診しましょう
- 検査結果を健康管理に活かし、生活習慣の改善に役立てましょう
まとめ – 人間ドックで健康な未来を
人間ドックは、病気の早期発見と予防のための重要な健康管理ツールです。一般的な健康診断よりも詳細で広範な検査を行うことで、より多くの健康リスクを早期に発見し、適切な対応を取れるのです。
年齢や健康状態、家族歴などに応じた適切なコースを選択し、定期的に受診することで、将来的な健康リスクを低減し、健やかな生活を送るための基盤を作りましょう。
当クリニックでは、最新の医療機器と専門医による質の高い人間ドックを提供しています。検査結果についても丁寧に説明し、必要に応じて生活習慣のアドバイスや適切な医療機関の紹介を行っています。
健康への第一歩として、ぜひ人間ドックをご検討ください。皆様の健康維持・増進のお手伝いをさせていただきます。