痛風

痛風について

痛風は、体内で尿酸が過剰に作られたり、尿酸の排出がうまくいかなかったりして血液中の尿酸値が高くなり、関節や周りの組織に尿酸塩結晶がたまって炎症を起こす病気です。尿酸は、プリン体という物質が体内で分解される時にできる老廃物で、普通は腎臓から尿として出ていきます。

血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と呼ばれ、この状態が長く続くと関節の中に尿酸塩結晶がたまっていきます。結晶がある程度たまると、ちょっとしたきっかけで急に強い炎症が起こり、激しい関節炎(痛風発作)になります。

痛風は男性に圧倒的に多く、女性の約20倍発症します。これは女性ホルモンに尿酸を外に出しやすくする働きがあるからで、閉経後の女性では発症しやすくなります。30~50代で最も多く起こり、最近では食生活の変化で若い方にも見られるようになってきました。

痛風発作は、食べ過ぎ、お酒の飲みすぎ、激しい運動、ストレス、急なダイエット、水分不足などがきっかけで起こることがよくあります。こうしたことで血液中の尿酸値が急に変わると、関節の中の結晶がはがれ落ちて炎症が起きると考えられています。

痛風の症状

痛風の症状は、急に起こる痛風発作と長期間の症状に分けて考えます。一番の特徴は突然始まる激しい関節の痛みで、多くの方が「今まで経験したことのない痛み」とおっしゃいます。

急性痛風発作

痛風発作はたいてい夜中から明け方にかけて突然始まります。最初は軽い違和感程度でも、数時間で激痛になり、24~48時間でピークに達します。痛みは「赤く腫れ上がって熱を持った関節に、風が当たっただけでも激痛が走る」と言われるほど強烈です。

一番よく起こるのは足の親指の付け根の関節で、全体の約7割を占めます。足首、膝、手首、肘なども起こることがあります。発作時の関節はひどく腫れ、皮膚は赤く光って見え、熱を持ちます。

痛風発作は普通、治療しなくても1~2週間で自然に良くなります。しかし適切な治療で数日で症状を良くすることができます。発作が治まると、しばらく何も症状のない時期が続きますが、治療しないと発作を繰り返し、だんだん間隔が短くなってきます。

長期間の症状

高尿酸血症が長く続くと、関節以外の場所にも尿酸塩結晶がたまります。耳の軟骨、肘、膝などに痛風結節という硬いこぶができることがあります。これらは普通痛みはありませんが、大きくなると関節の動きが悪くなったり、皮膚が破れて中身が出てきたりします。

腎臓への影響も大切で、尿酸の石ができたり慢性腎臓病が進んだりすることがあります。また高尿酸血症は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と関係が深く、動脈硬化や心臓血管の病気のリスクを高めることも分かっています。

痛風の診断

痛風の診断は、特徴的な症状と血液検査の結果を合わせて行います。当クリニックでは、患者さんの症状を詳しくお聞きし、診察をしたうえで、必要な検査をして正しい診断をするよう心がけています。

血液検査では血清尿酸値を調べ、7.0mg/dL以上なら高尿酸血症と診断します。ただし痛風発作中は尿酸値が一時的に下がることがあるので、発作が治まってから再び検査することも大切です。

関節の液を調べる検査が一番確実な診断方法で、関節液の中に尿酸塩結晶が見つかれば確定診断になります。ただしすべての方にできるわけではないので、症状と血液検査の結果を合わせて診断することが多くなります。

画像検査では、超音波検査で関節の中の結晶や軟骨の変化を見ることができます。レントゲン検査は長期間の関節の破壊を調べるのに役立ちますが、急性期には特徴的な変化は見られません。

痛風の治療

痛風の治療は、急性発作の治療と長期間の尿酸値管理の2つに大きく分かれます。急性期にはできるだけ早く炎症を抑え、長期間では尿酸値を適切にコントロールすることを目指します。

急性発作の治療

痛風発作に対しては、発作が始まったらできるだけ早く治療を始めることが大切です。主な治療薬として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルヒチン、ステロイド薬があります。

NSAIDsは一番よく使われる薬で、発作の初期に十分な量を使うことで、比較的早く症状の改善が期待できます。ただし胃腸の調子が悪くなったり腎臓の働きに影響したりすることがあるので注意が必要です。

コルヒチンは発作時よりも発作の予感期に使用すると効果的です。下痢や腹痛などの副作用が比較的多いので、使用には注意が必要です。

発作中は安静にして、患部を冷やすことも症状を軽くするのに効果があります。一方でマッサージしたり温めたりすることは炎症を悪くする可能性があるので避けてください。

長期間の尿酸値管理

痛風発作が治まったら、再発を防ぎ合併症を予防するために尿酸値を適切にコントロールします。目標値は普通6.0mg/dL未満で、痛風結節がある場合はより厳しく5.0mg/dL未満を目指します。

尿酸を下げる薬には、尿酸ができるのを抑える薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)と尿酸を外に出しやすくする薬(ベンズブロマロン、ドチヌラドなど)があります。患者さんの尿酸値や腎臓の働き、他の病気を考えて最適な薬を選びます。

薬による治療を始めた初期は、尿酸値が急に変わることで痛風発作が起こることがあります。そのため治療開始時にはコルヒチンなどの発作を予防する薬を一緒に使うことが勧められています。

生活習慣の改善

痛風の治療では、生活習慣を良くすることが薬による治療と同じくらい大切です。適切な生活習慣で、尿酸値の改善と痛風発作の予防が期待できます。

食事について

プリン体を多く含む食べ物を控えることが大切です。特に内臓類(レバー、腎臓、心臓など)、魚介類の干物、一部の魚(イワシ、カツオなど)は高プリン体食品として知られています。ただし極端な食事制限は必要なく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

お酒の飲みすぎは尿酸値を上げる大切な要因です。特にビールはプリン体を多く含むので注意が必要ですが、他のお酒も尿酸の代謝に影響するので、適量を心がけることが大切です。

十分な水分を取ることは尿酸を外に出すのに効果的で、1日2リットル以上の水分摂取がお勧めです。ただし果糖を多く含む清涼飲料水は尿酸値を上げるので避けてください。

その他の生活習慣

太りすぎは尿酸値上昇の大切な要因で、適正体重を保つことが大切です。ただし急激なダイエットは痛風発作を起こすことがあるので、ゆっくりとした減量を心がけます。

適度な運動は尿酸値の改善に効果的ですが、激しい運動は一時的に尿酸値を上げることがあります。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を続けることがお勧めです。

ストレスをうまく管理することも大切で、十分な睡眠と規則正しい生活リズムを保つことで、痛風発作のリスクを減らすことができます。

合併症と長期管理

痛風は単なる関節の炎症ではなく、体全体の代謝の異常を背景とした病気です。高尿酸血症は腎臓病、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と密接な関係があり、これらの病気が重なることで心臓血管の病気のリスクが高まります。

腎臓の働きへの影響は特に大切で、慢性腎臓病が進んだり尿酸の石ができたりすることがあります。定期的な腎機能検査と適切な管理で、これらの合併症を防ぐことができます。

長期管理では、定期的な血液検査で尿酸値をチェックし、必要に応じて治療を調整することが大切です。また生活習慣病の管理も一緒に行い、総合的な健康管理を心がけます。

当クリニックでの痛風の診療

当クリニックでは、痛風の急性発作から長期間の管理まで、幅広い医療サービスを提供しています。激しい関節の痛みでお困りの方に対して、迅速な診断と適切な治療を行い、痛みを和らげることを最優先に取り組みます。

急性発作の治療では、患者さんの症状や他の病気を考えて最適な薬を選び、できるだけ早い症状改善を目指します。長期間の管理では、定期的な血液検査で尿酸値をチェックし、個々の患者さんに最適な治療方針をご提案いたします。

また生活習慣の改善指導も大切な診療内容の一つです。食事指導、運動指導、体重管理について具体的にお伝えし、患者さんの長期的な健康管理をサポートいたします。合併症の早期発見と予防にも努め、総合的な医療を提供しています。

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