大腸メラノーシス

大腸メラノーシスとは

大腸メラノーシス(腸メラノーシス)とは、大腸の粘膜が黒や褐色(茶色)に変色している状態のことです。この色素沈着は、主に大腸の粘膜下層にメラニン色素が蓄積することによって起こります。大腸内視鏡検査で発見されることが多く、通常は大腸の一部、特に右側結腸(盲腸や上行結腸)に見られることが多い症状です。

大腸メラノーシスは、病気というよりも「状態」や「所見」と考えられており、それ自体がすぐに健康上の問題を引き起こすことは一般的にはありません。

大腸メラノーシスの原因

大腸メラノーシスのもっとも一般的な原因は、アントラキノン系下剤(センノシドやセンナなど)を長期にわたって使用したことです。これらの下剤に含まれる成分が腸内で代謝される過程で、メラニンのような色素の沈着が促されると考えられています。

大腸メラノーシスの症状

大腸メラノーシスに特異的な症状はなく、大腸内視鏡検査で偶然発見されることがほとんどです。
大腸メラノーシスの方では腸管の蠕動運動が悪くなり、便秘、腹部膨満感などの症状が出ることがあります。

大腸メラノーシスの診断

1. 大腸内視鏡検査

大腸メラノーシスの診断には、大腸内視鏡検査がもっとも重要な役割を果たします。検査で大腸粘膜の黒色または褐色の色素沈着を直接観察し診断します。

大腸メラノーシスの治療と対応

大腸メラノーシスは基本的に良性の状態であり、それ自体が直接的な治療を必要とすることはほとんどありません。しかし、原因となっている要因への対処は必要です。

1. 下剤使用の見直し

アントラキノン系下剤の使用を中止または減量することが推奨されます。ただし下剤を突然中止すると症状が悪化することもあるため、医師の指導のもとで徐々に減量していくことが大切です。

2. 便秘の改善

便秘の根本的な原因に対処することが重要です。

3. 代替薬の検討

便秘治療が必要な場合は、アントラキノン系以外の下剤や便軟化剤の使用を検討します。医師と相談の上、適切な薬剤を選択しましょう。

4. 経過観察

大腸メラノーシスが確認された場合でも、通常は定期的な経過観察以外の特別な治療は必要ありません。アントラキノン系下剤の使用を中止すると、数か月から数年かけて色素沈着が徐々に改善することもあります。

まとめ

大腸メラノーシスは、主にアントラキノン系下剤の長期にわたる使用に関連する大腸粘膜の色素沈着です。それ自体は良性の状態であり、通常は症状を引き起こしません。診断は大腸内視鏡検査で行われ、治療は原因となる下剤の使用を見直すことが中心となります。

便秘や腹部症状でお悩みの方は、自己判断で下剤を長期使用せず、当クリニックにご相談ください。当クリニックでは、大腸メラノーシスを含む大腸の疾患に関して、丁寧な診察と適切な治療法のご提案を行っています。

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