発熱外来とは
発熱外来とは、発熱や風邪の症状がある患者さんを対象とした専門の外来診療のことです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を機に、多くの医療機関で設置されるようになりました。
発熱外来の主な目的は以下の通りです。
- 発熱患者を他の患者さんと分けて診察することで、院内感染のリスクを低減する
- 感染症(インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など)の早期発見と適切な治療
- 重症化リスクの評価と必要に応じた入院調整
発熱外来の受診が必要なケース
以下のような症状がある場合、発熱外来の受診がおすすめです。
発熱に関する症状
- 37.5℃以上の発熱が続いている
- 解熱剤を使用しても熱が下がらない
- 発熱と共に強い倦怠感がある
呼吸器症状
- 咳や痰が続いている
- 息苦しさや呼吸困難を感じる
- のどの痛みが強い
その他の症状
- 頭痛や関節痛が強い
- 嗅覚や味覚の異常
- 下痢や嘔吐などの消化器症状
特に以下の場合は、早めの受診をおすすめします。
- 高齢者(65歳以上)
- 基礎疾患(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など)がある方
- 妊婦の方
- 乳幼児
発熱外来を受診する前に
発熱外来を受診する前に、以下の点に注意しましょう。
事前の電話連絡
多くの医療機関では感染症対策のため、発熱症状がある場合は事前に電話で連絡することを求めています。電話での問診を通じて、適切な受診時間や入口などの案内を受けられます。
必要な持ち物
- 健康保険証
- お薬手帳(持っている場合)
- 診察券(初診の場合は不要)
- マスク(必ず着用)
- 体温計(自宅での体温の記録があると診察の参考になります)
- 現金(クレジットカード対応していない医療機関もあります)
移動手段
可能であれば公共交通機関の使用は避け、自家用車やタクシーなどを利用しましょう。どうしても公共交通機関を利用する場合はマスクを着用し、手指の衛生に配慮したうえで、会話を控えるなどの対策を徹底しましょう。
発熱外来での診察の流れ
発熱外来での一般的な診察の流れは以下の通りです。
1. 受付・問診
まず受付で必要書類を提出し、症状や経過について詳しい問診を受けます。この際、以下のような情報を聞かれることが多いです。答えられるように準備しておきましょう。
- いつから症状があるか
- どのような症状があるか(発熱、咳、喉の痛みなど)
- 基礎疾患の有無
- 服用中の薬
- 感染者との接触歴
- 最近の旅行歴
2. 検査
症状や問診の結果に基づいて、必要な検査が行われます。一般的な検査には以下のようなものがあります。
- 体温、血圧、脈拍、酸素飽和度(SpO2)の測定
- 新型コロナウイルス検査(PCR検査、抗原検査など)
- インフルエンザ検査
- 血液検査
- 胸部レントゲン検査
- CT検査(必要に応じて)
3. 診察
医師による診察では、以下のような評価が行われます。
- 全身状態の確認
- 呼吸の状態(呼吸音の聴診など)
- 喉や扁桃の状態
- その他の身体所見
4. 診断と治療方針の説明
検査結果と診察所見に基づいて、診断と治療方針の説明があります。
- 感染症(新型コロナウイルス、インフルエンザなど)の診断
- 重症度の評価
- 必要な治療(抗ウイルス薬、解熱剤など)の説明
- 自宅療養か入院かの判断
5. 処方と療養指導
必要に応じて薬が処方され、自宅療養の方法についての説明があります。
- 処方薬の種類と服用方法
- 自宅での療養方法(安静、水分摂取、栄養など)
- 症状悪化時の対応
- 周囲の人への感染予防策
発熱外来受診後の注意点

発熱外来を受診した後は、以下の点に注意しましょう。
自宅療養中の注意点
- 十分な休息をとる
- こまめな水分補給を心がける
- バランスの良い食事を摂る(特に消化の良いもの)
- 室内の換気を適宜行う
- 同居家族との接触を最小限にする
症状悪化時の対応
以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
- 呼吸困難や息苦しさの増加
- 意識障害や強い倦怠感
- 高熱が続く
- 水分や食事が摂れない状態が続く
療養解除の目安
療養解除の目安は疾患によって異なりますが、一般的には以下のような基準があります。
- 発症から一定期間(疾患により異なる)が経過している
- 解熱剤を使用せずに解熱している
- 呼吸器症状が軽快している
実際には診察を受けた医師の指示に従ってください。
発熱時の自己ケア
発熱外来を受診する前や医師から自宅療養を指示された場合は、以下のような自己ケアを心がけましょう。
安静と休息
体力を回復させるために、十分な休息をとることが大切です。無理に活動せず、安静に過ごします。
水分補給
発熱により失われる水分を補給するために、こまめに水分を摂りましょう。水やお茶、スポーツドリンク(塩分や糖分の補給)などがおすすめです。
室温と湿度の管理
室温は20〜25℃程度、湿度は50〜60%程度に保つと快適に過ごせます。特に乾燥する季節は加湿器の使用も検討しましょう。
適切な服装
熱がこもらないよう、通気性の良い服装を選びましょう。発汗後は着替えることで、体温調節を助けます。
まとめ
発熱外来は、発熱や風邪症状のある患者さんを専門に診る外来です。感染症の早期発見と適切な治療、そして院内感染の防止を目的としています。
発熱や風邪症状がある場合は、まず電話で医療機関に連絡し、指示を仰ぐことが重要です。発熱外来では、問診、検査、診察を通じて適切な診断と治療が行われます。
当クリニックでは、患者さんの症状に応じた丁寧な診療を心がけ、不安な気持ちに寄り添いながら、適切な医療を提供しています。発熱でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。