大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の内側の粘膜から突出してできる隆起性の病変のことです。直径数mmから数cmと大きさはさまざまで、形状もそれぞれ異なります。
ポリープは一般的に以下のように分類されます。
腫瘍性ポリープ
- 腺腫性ポリープ:もっとも一般的なタイプで、大腸癌の前段階となる可能性があります
- 鋸歯状ポリープ:一部のタイプは癌化リスクがあります
非腫瘍性ポリープ
過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、過誤腫性ポリープなどがあります。一般的に癌化の可能性は低いタイプです。
大腸ポリープは40歳以上の方の20~30%程度に見られるといわれ、年齢とともに増加する傾向があります。大部分のポリープは良性ですが、中でも腺腫性ポリープは放置すると一部が大腸癌へ進行する可能性があるため注意が必要です。
大腸ポリープの症状
大腸ポリープの多くは無症状であり、検診や他の理由での大腸検査によって偶然発見されることが多いです。便に血が混ざることがありますが、多くは肉眼で確認できないような「潜血」です。この場合、便潜血検査が陽性になることがあります。
大腸ポリープの診断方法

大腸ポリープの診断には、大腸内視鏡検査、大腸CT検査(CT colonography)、注腸X線検査などがあります。
大腸内視鏡は、大腸内に内視鏡を挿入し、直接大腸内を観察する方法です。観察だけでなく、ポリープを発見した場合その場で組織を採取したり、切除することもできます。
大腸CT検査(CT colonography)、注腸X線検査はX線を用いて間接的に大腸の中を映し出す方法であり、ポリープの切除などはできません。
大腸ポリープの治療法
大腸ポリープの治療方法は、ポリープの大きさや数、種類、患者さんの状態などによって異なります。主な治療法は以下の通りです。
内視鏡的ポリープ切除術
最も一般的な治療法で、大腸内視鏡を用いてポリープを切除します。具体的な方法としては以下があります。
- ポリペクトミー:スネアと呼ばれるワイヤーの輪でポリープを絞めて切除する方法
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR):ポリープ下の粘膜に生理食塩水などを注入して持ち上げ、スネアで切除する方法
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD):特殊な電気メスを用いて少しずつ粘膜を剥離し、大きなポリープや平坦なポリープを一括で切除する方法
小さいポリープであれば、外来でのポリペクトミーが可能です。大きいものでは入院治療が必要ですが、期間が短く体への負担が少ないのが特徴です。
大腸ポリープと検診

大腸ポリープや大腸癌の早期発見には、定期的な検診が非常に重要です。
検診の重要性
大腸ポリープは初期には症状がほとんどなく、進行するまで気づかないことが多いです。定期的な検診によって無症状のうちにポリープを発見し、切除することで大腸癌の予防につながります。
推奨される検診
- 40歳以上の方は、年1回の便潜血検査が推奨されます
- 便潜血検査で陽性となった場合は、大腸内視鏡検査による精密検査を受けることが重要です
- 大腸ポリープを指摘されたことがある方や、家族に大腸癌患者がいる方は、医師と相談のうえ定期的な大腸内視鏡検査を検討しましょう
検診間隔の目安
ポリープが見つかり切除した後のフォローアップ検査の間隔は、ポリープの数、大きさ、種類などによって異なります:
- 小さな過形成性ポリープのみ:通常の検診スケジュールでOK
- 1〜2個の小さな腺腫:5年後の再検査
- 3個以上の腺腫や、大きな腺腫、または癌化リスクが高い組織型:3年後の再検査
- 多数の腺腫:1年後の再検査
具体的な検査間隔は、担当医師と相談して決めることをお勧めします。
受診の目安
以下のような症状や状況がある場合は、消化器内科の受診をご検討ください:
- 血便や粘液便が続く
- 便通の変化(下痢や便秘の繰り返しなど)が1か月以上続く
- 原因不明の腹痛が続く
- 体重が理由もなく減少している
- 貧血と診断された(特に中高年の方)
- 便潜血検査で陽性と言われた
- 大腸ポリープや大腸癌の家族歴がある
- 以前に大腸ポリープを指摘され、フォローアップの時期になっている
これらの症状は大腸ポリープ以外の疾患でも現れることがありますが、早めに医療機関を受診して適切な検査を受けることが重要です。
まとめ
大腸ポリープは比較的よく見られる病変で、その多くは良性ですが、腺腫性ポリープなどは大腸癌に進行する可能性があります。ポリープは早期に発見し、適切に治療することで大腸癌を予防できる可能性があります。
症状がない段階で発見するためには、定期的な検診が重要です。また、バランスの良い食事、適度な運動、禁煙、節酒など、生活習慣の改善も予防に効果的です。
気になる症状がある方は、早めに当クリニックにご相談ください。